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ALMC Championships 2009


準々決勝レポートと、レガシーのススメ。

Written by Naoaki Umesaki

海外では幅広く遊ばれており、非常にポピュラーなフォーマットであるレガシー。

だが、日本において『マジック:ザ・ギャザリング』はスタンダード・リミテッドという二つのフォーマットを中心に遊ばれており、現状において日本でレガシーはポピュラーなものとは言えない。

おそらく、レガシーを遊んだことのない方は、この未知の環境であるレガシーに敷居の高いものを感じていることだと思う。

実際、筆者も去年に初めてレガシーの大会に出るまでは「レガシーは 1 キル・2 キルの瞬殺デッキばかりの怖い世界」という誤解をしていた。

しかし、実際に大会に出てみるとそんなことはなく、カードプールの広さから様々なデッキタイプに可能性がある環境であることを知り、好きだった昔のカード・デッキを使える楽しみから、時々レガシーの大会に出るようになった。

そして、最近になってようやく日本でもレガシーに追い風が吹き始めた。関東圏のマジックシーンにおいてレガシーが密かなブームとなってきており、レガシーの大会も増えてきたのだ。

この背景には、近年のエキスパンションのカードが非常に強力なため、スタンダードを遊んでいるプレイヤーが少しカードを買い足せばレガシーで勝てるデッキを組めることや、昔使っていた好きなデッキ・カードを使用できるというフォーマットの魅力が広く伝わり始め、レガシーを始めるプレイヤーが増えてきたといった理由が予想される。

決して、レガシーの敷居は高くない。

今までレガシーに触れる機会の無かった方には、ぜひともこの準々決勝レポートを読んでもらい、漠然としたイメージで結構なので「レガシーでは、こんなカード・デッキが使われているのか」とレガシーの空気感を感じてもらい、興味を持って頂けたらと思う。

■ Match 1 : 夏目 拓哉(東京) vs. 浅原 晃(神奈川)

浅原晃 vs 夏目拓哉

Game 1

マジックの歴史と伝統を愛する浅原が『ALMC』に持ち込んだのは、《壌土からの生命》とオンスロートのサイクリングランドによるドローエンジンでアドバンテージを稼ぎながら、《壊滅的な夢》で場をリセットして勝利を目指す『アグロローム』というデッキタイプ。

デッキコンセプト通り、浅原は序盤から《師範の占い独楽》《壌土からの生命》によるドローエンジンで勝利への布石作りを始める。

対する夏目が使用するのは、現在のスタンダードで大暴れしている『青黒フェアリー』のレガシー版ともいえるデッキ。 《苦花》《呪文づまりのスプライト》といったスタンダード版での中心パーツはそのままに、《Force of Will》《目くらまし》といった代替コストを払うことでマナを払わずに使用することができる(通称:ピッチ)カウンター呪文や、《梅澤の十手》《ヴィダルケンの枷》といった近年のスタンダードで活躍した強力カードが脇を固める構成のデッキだ。

Force of Will

スタンダードで猛威を振るう『青黒フェアリー』の基本パーツや、近年のスタンダード環境で活躍したカードは、レガシーというフォーマットにおいても一流の輝きを誇っている。

さて、ゲームのほうは《壌土からの生命》によるドローエンジンでフィニッシュに向けて確実に準備を整える浅原に対して、夏目が《苦花》《梅澤の十手》で攻め始めるという中盤戦。

浅原が《強迫》をプレイして、夏目はそれを《対抗呪文》でカウンターするのだが、これで夏目の土地はフルタップとなった。

そこで浅原がプレイしたのは、X=2 での《仕組まれた爆薬》

この《仕組まれた爆薬》により、夏目の《苦花》《梅澤の十手》が一気に破壊され、浅原が場をコントロールしてゆくかと思われたのだが。

マナが無くてもカウンターが飛んでくるのが、レガシーの世界。

夏目は、ピッチでの《目くらまし》 2 枚でこの脅威をカウンターすることに成功する。

《苦花》《梅澤の十手》というスタンダード環境で猛威を振るった強力カードたちによるプレッシャーは、浅原に挽回する猶予を与えなかった。

Game 2

夏目は《梅澤の十手》、浅原は《タルモゴイフ》と攻めの起点を展開する序盤戦の流れ。

夏目が続けて《ヴェンディリオン三人衆》をプレイしたところで、浅原は 《ジャンドの魔除け》の「全体に 2 点」モードでこれを除去。 《梅澤の十手》の活躍を許さない。

スタンダード臭のする《ジャンドの魔除け》だが、今の展開のような生物除去のほかにも、墓地を利用するコンボデッキに対して有効な墓地掃除もという万能っぷりを感じさせる。

攻めをさばかれてしまった夏目は《悪魔の布告》《タルモゴイフ》で除去することには成功するのだが、浅原は《闇の腹心》《壌土からの生命》をプレイして膨大なアドバンテージを獲得し始める。

数ターン後に夏目が《根絶》《壌土からの生命》をリムーブした時には、既に圧倒的なアドバンテージ差がついており、そのまま浅原の勝利となった。

Game 3

先攻の夏目、2 ターン目に《苦花》を置き、浅原の《闇の腹心》をピッチでの《目くらまし》でカウンターして、3 ターン目には《梅澤の十手》をプレイ。

いわゆる“ブンまわり”な展開で序盤戦の攻防を制した夏目だったのだが、返しのターンに浅原が《強迫》で安全確認した後にセットしたのは……

The Tabernacle at Pendrell Vale

夏目投了簡単に説明すると、「全てのクリーチャーは毎ターン 1 マナ払わないと死にますよ」というトンデモ能力を持ったいにしえの土地カードである。

数を並べる《苦花》に対して、《The Tabernacle at Pendrell Vale》の効果は絶大である。 というか、《The Tabernacle at Pendrell Vale》が土地 1 枚でやっていい効果の域を超えている。

《苦花》《梅澤の十手》による攻めを持続しようと《The Tabernacle at Pendrell Vale》による維持マナを払ってフルタップとなった夏目に対して、浅原がプレイしたのは《仕組まれた疫病》

浅原の指定は、もちろん「フェアリー」で勝負あり。

浅原 2-1 夏目

Final Result : 浅原 晃 Win!

■ Match 2 : 山田 大喜(千葉)vs. 仙波 恒太郎(千葉)

山田大喜こちらの対戦テーブルは、『神話エルフ』(山田)vs.『緑赤白 Zoo』(仙波)の純粋なビートダウン同士の対決だ。

レガシーをやったことの無い方の持ってるイメージとは違い、実際のレガシーはこのように少し前のスタンダードっぽい試合が多かったりする。

Game 1

Tarmogoyf
仙波が 1 ターン目にプレイした《野生のナカティル》は、2 ターン目にはデュアルランドの恩恵を受けて【 3/3 】にサイズアップしてビートダウンを開始。仙波は、続けて《渋面の溶岩使い》と順調なクリーチャー展開となる。

山田も《遺産のドルイド》《レンの地の克服者》《傲慢な完全者》とエルフ軍団を展開して立ちはだかるのだが、山田が数なら、仙波はサイズで勝負。 仙波は《タルモゴイフ》 2 体を戦線に追加して、猛烈に攻め立てる。

仙波の《渋面の溶岩使い》は山田に有利なブロックを許さず、追い打ちとなる《稲妻》によって山田の戦線をズタボロにした仙波が第1ゲームを勝利した。

Game 2

山田は 2 ターン続けての《ラノワールのエルフ》プレイから《ガイアの揺籃の地》をセット。 この《ガイアの揺籃の地》で生み出したマナによって、更に《ワイアウッドの共生虫》《傲慢な完全者》と 2 ターン目にして大量のクリーチャーが展開されるという、『神話エルフ』ならではの高速展開を決める。

仙波の展開も良く、《タルモゴイフ》 2 体・《密林の猿人》とクリーチャーを並べて、《稲妻のらせん》 2 枚《剣を鍬に》によるクリーチャー除去で耐える。

山田もクリーチャー展開を続けるも、仙波は《タルモゴイフ》【 4/5 】の 3 枚目を場に追加。

山田の数を、仙波のサイズが押し始める。そして、仙波は 3 枚目となる《稲妻のらせん》を引き当てライフレースで優位に立つのだが。

次のターンに山田の手札から変異でプレイされた《部族の腕力魔道士》への対処手段は仙波の手札には無く。《部族の腕力魔道士》のモーフ解除時の能力によってパワーアップしたエルフの軍勢を止める術が無い仙波は投了を宣言。

Game 3

仙波恒太郎山田は先ほどのゲームと同様に、『神話エルフ』の爆発力を見せつける。

2 ターン目の段階で、山田の場には《ラノワールのエルフ》《イラクサの歩哨》《レンの地の克服者》 2 枚・《クウィリーオン・レインジャー》と大量のクリーチャーが展開される。

仙波も《野生のナカティル》 2 枚・《タルモゴイフ》とクリーチャーを展開するのだが、エルフ軍団が場に並んでしまうと先ほどのゲームのように《部族の腕力魔道士》による全体強化で一気に試合を決められる恐れがある。

この状況に対し、仙波が回答としてプレイしたのは《紅蓮地獄》

どの環境でも、ウィニーデッキに対するセオリーは変わらない。

もちろん効果は絶大で、山田が 4 枚目となる土地を引けず手札にあった《森の伝書使》まで繋げることができなかったこともあり、仙波のビートダウンを止めることはできなかった。

仙波 2-1 山田

Final Result : 仙波 恒太郎 Win!

■ Match 3 : 青木 力(東京) vs. 中谷 真司(神奈川)

中谷真司 vs 青木力青木の使用するデッキは、隣のテーブルで対戦している山田とは違い《適者生存》によるギミックが搭載されているチューンの『エルフ』デッキ。

爆発力という点では山田のチューンには劣るが、《適者生存》によるクリーチャーサーチがデッキに柔軟性や全体除去への耐性を与えている。

対する中谷が使用するのは、『チームアメリカ』と呼ばれているデッキタイプ。 ピッチのカウンター呪文や、マジックの歴史の中でもひときわ優秀な手札カード破壊で序盤戦を制して、相手に思うようなゲーム展開をさせないまま《タルモゴイフ》《墓忍び》といったフィニッシャーで一気に試合を決めるというクロックパーミッションデッキだ。

『チームアメリカ』というデッキ名の由来なのだが、デッキ製作者が「とにかく強力なカードが詰め込まれていて、なんでもできて超強いこのデッキは“強いアメリカ”の象徴にふさわしい!」と言ったとか、言っていないとかという面白話もある。

Game 2

青木力さて、青木の攻めを中谷がさばいてから《墓忍び》で一気に勝利を収めた第 1 ゲームと同じく、中谷が青木の攻めを捌く 2 ゲーム目の序盤戦。

中谷は、《呪文嵌め》《レンの地の克服者》をカウンター、《Force of Will》《森の伝書使》をカウンター。

さらには、《根絶》《レンの地の克服者》をリムーブして、《タルモゴイフ》を場に投下する。

中谷が試合のペースを握ったかと思われたのだが、《タルモゴイフ》《墓忍び》と違い飛んでいないので、青木が場に追加した《傲慢な完全者》《クウィリーオン・レインジャー》などのエルフ軍団に足止めを食らう。

時間稼ぎに成功した青木は、《適者生存》を引き込み、これが場に通って反撃開始。

《適者生存》によって獲得した《森の伝書使》は強固なエルフ軍団を場に呼びよせ、そのまま青木が数の暴力で中谷を圧殺した。

Game 3

中谷真司先攻の中谷、《渦まく知識》でドローを進め、青木の《ラノワールのエルフ》《目くらまし》でカウンター。

続いて、《Hymn to Tourach》で青木の手札を攻め、《窒息》《ティタニアの僧侶》が青木の手札から墓地に落ちる。

この時点で中谷の手札に《墓忍び》があり、次のターンに《墓忍び》をプレイしてゲームエンドだと思われたのだが。

青木がトップデッキしてプレイしたのは、《月の大魔術師》

様々な強力カードが搭載されている『チームアメリカ』は、ネックとなるその色拘束をクリアするためにデッキの土地構成がほぼ全て特殊地形となっている。

序盤戦からカウンター・手札破壊で相手に思うような展開を許さず、強力なフィニッシャーで一気に勝つ。確かに最強のように思えるデッキコンセプトを持つ『チームアメリカ』だったが、ここで「土地が特殊地形のみ」という弱点を突かれる。

当たり前の話だが、マナが出なければマジックにはならない。

サンドバックになる未来しか見えない中谷は、すぐさま投了の宣言。

デッキパワーを高めるために尖ったデッキ構成となることが多いレガシーの環境。

それゆえ、こういったキラーカード 1 枚で頓死となるケースもときどきある。

■ Match 4 : 佐宗 一歩(東京) vs. 奥富 弘光(埼玉)

Ancient Tomb
奥富が使用するのは、『ドラゴンストンピー』と呼ばれるデッキタイプ。

簡単に動きを説明すると、1~2 ターン目に《古えの墳墓》《裏切り者の都》といった無色 2 マナを出すことができる特殊地形から《月の大魔術師》《血染めの月》《三なる宝球》といった妨害カードを張って、相手が立ち直らないうちに《弧炎撒き》《ラクドスの地獄ドラゴン》といったフィニッシャーで勝ちに行くというデッキだ。

レガシーの環境は、優秀な特殊地形やマナコストが軽くて強いカードをたくさん使うので、《月の大魔術師》《三なる宝球》といったカードは非常に有効であり、相手のデッキ構成次第によっては先ほどの中谷 vs. 青木の試合のように「《月の大魔術師》が出たら勝ち」ということもありうるのだ。

そして、奥富の対戦相手となる佐宗が使用するデッキは、デッキ内の土地は全て特殊地形と思われる『チームアメリカ』。

勝負の焦点は、奥富がキラーカードを突き刺すか、佐宗がキラーカードをさばくかとなりそうだ。

Game 1

奥富弘光先に仕掛けたのは、奥富。

《古えの墳墓》から高速で《月の大魔術師》をプレイするが、佐宗はこれを《Force of Will》でカウンターで対処。

そして、佐宗から奥富への返しのパンチは《Hymn to Tourach》。奥富はランダムディスカードで 2 枚の手札を失い、続くクリーチャー展開も《殺し》などで佐宗に対処されてしまう。

攻め手が切れた奥富に対して、佐宗は手札から《墓忍び》を連続でプレイして勝負あり。

【MTG】ALMC2009 準々決勝1【Legacy】

2009-01-19
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【MTG】ALMC2009 準々決勝1【Legacy】 (08:47)
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単三電池w さっさっとはじめろ おいおい いてえええええ →死んだ 3分wwwwwwww

Game 2

このゲームも奥富は無色 2 マナを出せる特殊土地から高速で《不吉の月》をプレイするのだが、これまた先ほどのゲームと同じく佐宗は《Force of Will》でカウンター。

続けて奥富がプレイした X=1 での《虚空の杯》は場に通り、佐宗の動きを大きく制限するのだが、奥富が決めにいった《弧炎撒き》《殺し》で秒殺される。

お互いにドローゴーが数ターン続くが、先に膠着を打破したのは《タルモゴイフ》を引き当てた佐宗。佐宗一歩

佐宗 「今のゲーム、《月の大魔術師》をカウンターできてなかったら即座に僕の負けだと思うでしょ? それを見越してデッキに《沼》を 1 枚だけ入れておいて、《月の大魔術師》が場に出る前にフェッチランドで《沼》を持ってくれば《殺し》で対処できる、なんていうデッキ構築もあるんですよ。レガシーはカードプールが膨大ですから、何をどうやってケアするかを想像してデッキ組んでるだけで楽しいですよ」

佐宗 2-0 奥富

Final Result : 佐宗 一歩 Win!

【MTG】ALMC2009 準々決勝2【Legacy】

2009-01-19
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【MTG】ALMC2009 準々決勝2【Legacy】 (13:33)
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マリガン動画 そうそう、場で勝って アメリカ...

さて、かんたんに準々決勝の様子をお届けしてきたが、レガシーを遊んだことが無い方でも「こんなカード・デッキが使われている環境なんだな」と雰囲気を感じていただけたと思う。

また、レガシーでは意外と最近のカードが多く使われていることに驚かれたと思う。冒頭でも述べたとおり、今までスタンダードしか遊んでいなかったプレイヤーでも少し必要なカードを買い足すだけで勝てるデッキが組めるのだ。

今回の『ALMC』で Top 8 に残ったのは、あくまでレガシー環境で有力とされるデッキの一部にしか過ぎず、強力なデッキタイプもまだまだ沢山ある。

膨大なカードプールだからこその楽しさ。

好きだったカードを自由に使える楽しさ。

まだレガシーをやったことがない方は、夢が詰まっているレガシーというフォーマットにぜひとも一度は触れてみて欲しい。


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